執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
のんびりって。不思議に思って首をかしげた私に、課長は穏やかな口調で続ける。
「とりあえず広瀬の地域は俺が引き継ぐから、お前はしばらく現場で働いて気分転換しろ」
「ほ、本社を離れろってことですか……?」
突然の提案に声が震えた。そんな、いきなり左遷みたいな。
もしかして、みんな田端くんの言葉を信じて、私が情報を流出させた犯人だと思っているの?
目の前を得体のしれない大きな黒いものでふさがれたような気がした。
この気持ちを、私は前にも感じたことがある。父に捨てられたときと一緒だ。
どんなにすがっても見向きもされなかった。
信じていた人に、つないでいた手を一方的に離される絶望感。
胸の奥がずしんと重くなり、呼吸が苦しくなる。
「広瀬、聞いてるか?」
心配そうにそう言われ、なんとか平静を装う。
「……わかりました」
そう言ってうなずくだけで精いっぱいだった。