執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「それよりも、雅文くんはそのまどかの愚痴を断片的に聞いて、まどかが自分の恋人の話をしていると勘違いしたんじゃない?」
正解をみつけた!という表情で身を乗り出す朋美に私は首をひねった。
「勘違い?」
「きっと雅文くんはアメリカに行ってからもずっとまどかのことが好きで、日本に一時帰国して偶然まどかに再会してすごく嬉しかったんだよ! それなのにまどかが酔って違う男の人の話をしているのを聞いて、嫉妬のあまり秘めていた恋心が暴走して、自分を押さえられなくなって、強引にホテルに連れて行ったって展開で間違いないわ」
顔を輝かせてそう言った朋美は「すごいロマンチック!」とひとり興奮して頬をそめる。対して私は深呼吸をしてから冷静に首を横に振った。
「そんなのありえないよ。だって雅文は三年前に私を騙して裏切っていたんだよ? それなのに雅文がずっと私を好きだったなんて、絶対ないから」
期待しちゃだめだ。勘違いしちゃだめだ。雅文と私はもう住む世界が違うんだから。
心の中でそう自分に言い聞かせる。
そんな私たちのやりとりを見ていた瞬くんが、「騙していたって、元カレはまどかさんにどんな嘘をついていたんですか?」と首をかしげた。
そのときのことを思い返し、胸がずきりと痛む。あれからもう三年もたっているというのに。