執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


「あと二時間弱であのタンブラーを二十個も用意できるの?」
「近郊の店舗の在庫は把握してる。今から電話をして取りに行くって連絡すれば大丈夫」
「え! このあたりは瀧内くんの担当地域じゃないのに把握してるの?」

 驚いて目を見開くと、雅文はくすりと笑った。

「お前だって休憩中、他店舗の売り上げ分析を見ながら昼飯食べてるくせに」

 そう言われ、ぐっと言葉につまる。早く一人前のスーパーバイザーになりたくて、こっそり勉強していたのが見抜かれていた。

「それよりお前ら、せっかく休みでデートなのに仕事するのかよ。こっちは助かるけどさぁ」

 内藤店長にそう言われ、雅文がはっとした表情でこちらを見る。

「悪い、広瀬。つい仕事モードになってた。俺が店舗を回ってタンブラー集めてくる間、広瀬は好きにこの辺りを見て買い物でもしてて……」
「まさか。私も手伝うよ。手分けして回った方が早く済むし」
「いいのか? 休みなのに仕事させるなよって、あきれていない?」
「あきれるわけがないでしょ。ためらいなくお客様のために動こうとする瀧内くん、好きだよ」


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