妖狐の瞳に恋をした
私は意を決して口を開いた。

「翡翠は馬鹿だね。」

「馬鹿ってなんだよ。」

「だって、馬鹿でしょ。私の気持ちを、翡翠と一緒に生きたいと

 思う私の気持ちを見くびらないで。

 妖狐だろうが何だろうが、私は心も体も翡翠と一緒なんだよ。

 お互いに唯一無二の存在なんでしょ。」

翡翠は私の言葉にハッとした顔をした。

「私の事を大事に想ってくれる翡翠の気持ちは分かる。

 でも、そんな大事なことなら尚更、私に言わないとダメでしょ。」

「そうだな・・・。

 きっと・・・俺は、怖かったんだ。瑠璃に拒否されるのが・・。

 俺は瑠璃に対してだけは、臆病になるのかもな」

しみじみと悟ったように呟いた。

「翡翠だけじゃない。私もそう。

 きっと、好きっていう気持ちが強い分だけ臆病になってしまうんだよ。」

「そうかもな・・」
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