妖狐の瞳に恋をした
お互いにすれ違っていた想いがやっと通じ合って、熱い抱擁を交わし

ていたが、襖の向こうから(トキ)くんが食事を持ってきたことを

伝えてきた。

「と、鴇くん、ちょっと待ってね。」

慌てて布団から飛び出ると、襖を開けた。

「鴇、瑠璃を連れてきてくれて、ありがとう。」

「え!翡翠様、意識が戻ったのですね。ケガの具合はいかがですか?」

「もう、大丈夫だと思うが、念の為蘇芳(スオウ)を呼んでくれないか」

「はい、分かりました。翡翠様の食事も直ぐお持ちします。」

それから直ぐに運ばれてきた食事を翡翠は残さず食べた。

こんなに食べれるんだから、調子もいいのだろう。

「翡翠が元気になって良かったぁ」

「瑠璃が側にいてくれれば、ずっと元気でいるさ」

「何、それ」

「本当のことだ」

そんな会話をしていると、鴇くんの声が襖の向こうからした。
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