妖狐の瞳に恋をした
駅の改札をくぐり傘をさした

シトシトと降る雨が傘を濡らしていく・・




自宅に向かって歩いていると右手に小さな公園がある

子供の頃は公園のブランコや砂場で遊んだものだ

そこには1本の大きな楓の木が生えている。

懐かしさから、ふと公園に目がいった

その楓の木の側に白いものが見えた。

「・・・・・?」

少し気になって近づくと、「・・・犬?」

それは、白い犬に見えた・・・が、ちょっと違う・・・狐?

その犬に見えたものには、フサフサの尻尾が生えている

誰かの飼っている狐なのだろうか?

まさか、こんな街中に野生の狐がいるわけがないのだから・・・

そんなことを考えながら問題の狐を良く見ると、白い毛の足元が

赤く染まっている・・・

「あなた、ケガをしてるの!?」

私の声にビックリして逃げようとするが、足を引きずり思うように

体が進まないようだった。

「大丈夫だから・・逃げないで。

 お願い、私にあなたの足を見せてくれない?」
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