二度目は本物の恋をしよう【番外編追加】
「クミちゃんって、隣のビルの同期の?」

「そう。東山さん、会うの初めてだっけ?前に挨拶したことあると思いますよ」

「そっか。記憶にあるような、ないような。」

「それより、めずらしいですね。お昼一緒に、なんて」

「ふふ。たまにはいいでしょ話たいこともあったし」

「異動、ですか?」

一つのプロジェクトが終わり、新しいプロジェクトはこことは別のビルで新メンバでプロジェクトを組むらしいと、噂になっていた。その中に、東山さんも入るんじゃないかな、と私は密かに思っていた。

「うん。本部ビルに」

「いつですか?来月?」

「正式には来月だけど、再来週から席は移るよ」

「いいなー、私も本部ビルがいい。クミちゃんと離れるのは寂しいけど」

「ふふ。俺は?」

「え?ふふっ。だって東山さんは本部ビルでしょ?私も本部ビルに行けばまた一緒…のフロアとは限らないけど、ビルは一緒でしょ。」

「まあね。寂しいの最初にクミちゃんの名前がでたから…」

なんとなく東山さんの言いたいことはわかる。それに、周りから聞くより直接東山さんが私に話してくれたこともとてもうれしい。

ビルが離れれば、多分、会う回数は減る。東山さんの日常に、私を思い出すことが減る気がする。考えても仕方がないことだけど私も、そろそろ、本気で、東山さんのこと考えないと。いつまでも二番目はつらい。
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