real feel
「だけど、そんな風に心を閉ざしていた私を菜津美は放っておいてはくれなくて。どんなに冷たくあしらっても決して諦めることなく私にぶつかってきてくれたんです。そのおかげで今こうして昔のように仲良くできていることを嬉しく思います。菜津美、本当にありがとう」

やだ、菜津美ったら。
もう泣きそうになってる。
そんな菜津美を見てしまったら私まで涙が込み上げてきちゃうのに。

でも今日は泣かないよ。
ちゃんと笑顔でお祝いしたいから。

「イチにぃと菜津美は同じ経理部で上司と部下でしたが、イチにぃが教事1課に異動になってからお付き合いが始まったよね。2人がお互いに好きだっていう気持ちを伝え合ったのを私は目の前で見ていましたから!だから私は2人の愛の証人でもあるのです。ね、そうでしょ?」

イチにぃと菜津美が見つめ合った後、2人で私に向かってピースサインを送ってきた。
会場からも歓声と拍手が巻き起こる。

「イチにぃ、私の大事な親友の菜津美を幸せにしてあげて。そして菜津美も、私の大事な従兄のイチにぃを幸せにしてね。2人ならいつまでもラブラブっぷりを見せつけてくれるだろうと期待してるからね!」

ここまで話してきて、いいアイデアが浮かんだ。
ちょっと2人にサプライズ的に愛情を示してもらうことにしよう。
ふふふ……覚悟してよね?

「チャペルでの人前式も感動しました。しかし、式に参列されていない方もこの会場にはいらっしゃいますよね。先程の式では誓いのキスはおでこに軽く、でした。物足りないと思ったのはきっと私だけではないはずです。そうじゃありませんか?」

会場がワーッと盛り上がる。
よっし乗ってきた!ここは一気にたたみかけなきゃ!

「会場の皆様もそうでしょうけど、きっとイチにぃと菜津美がいちばん物足りなかったと思います。今日はここにいらっしゃる皆様が証人です。だからここで2人に誓いのキスをしてもらいたいと思うんですけど……いかがでしょうか?」

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