real feel
「な、なんですって!聞いていないわよそんなこと!!祥平、サチさんも、私を騙していたのね……」

ど、どういうこと?
お母さんが言っていた主任の縁談のお相手がサチさんで、そのサチさんと祥平さんが実は恋人同士だった……。
そういうことなの?
会合はまだ始まったばかりだというのに、もう修羅場の雰囲気になってきた。

「騙してたつもりはないけど、今まで母さんには言えなかったし、結果的にはそうなるのかな。いつか話さないといけないとは思っていたけど、まさかこういう形になるとはね……」

「ちょうどいいじゃないか。祥平とサッ…サチさんが結婚して2人でS・Factoryをやっていけば何の問題もないだろ?」

主任が祥平さんを擁護する発言をした。
私もそれが一番いいんじゃないかって思ったところだった。

「ダメよ!だから祥平とサチさんはいとこ同士なのよ。そんなのダメに決まってるじゃない」

ハッとした。
『いとこ同士』だからダメって、まるで蘭家と宮本家での問題みたい。

「だから、俺でも同じだろ?俺とサチさんもいとこ同士なんじゃないか。祥平がダメで俺はいいって理屈が通らない」

「だっ、だからそれは……」

口ごもって俯いてしまったお母さん。
確かに理屈は通らないよね。
それなら私とイチにぃは良くて、シュウにぃはダメって言ってるようなものだよね。
だけど世間一般的には、いとこ同士の結婚は認められているんだし。

「祥平、お前も覚悟決めるときが来たんじゃないか?翔真に頼りたい気持ちも分からないではないが、自分がS・Factoryを継いでいくって本気を見せたらどうだ」

「俺も貴浩兄さんの意見に賛成。今までまったく関わって来なかった俺が引き継いだとしても上手くいくとは思えないし。祥平は佐伯の父さんの仕事を見てきたんだし、今だってしっかりやってる。あとは『ピンチヒッター』とか軽い考えを捨てて、家業を継ぐっていう覚悟を決めるだけだ。サチさんと一緒だったらそれが出来るんじゃないのか?」

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