real feel
明らかに情報の出所は菜津美とイチにぃだろう。
お節介な2人がその情報を翔真に押し付けたのか、翔真からリサーチを依頼したのかは分からないけど。

「とっても素敵……。でもこれってものすごく高価な物なんじゃ」

「給料の3か月分、ってとこかな」

そっそんな!!
私ったらそんな高い指輪を気に入ってしまったなんて。

「なんか、ごめんなさい。こうなるとは想定外で……」

「一緒に買いに行ったら遠慮するに決まってるからな。有田さんに頼んで正解だった」

これってサプライズだよね。
ものすごく驚いてしまったけど、嬉しさがジワジワと心に染みてきた。

「ありがとう翔真……。でっでも、今日は翔真の誕生日なのに!」

「俺の誕生日だからだよ。俺は決めてたんだ、今日のこの日に…………するって」

え?なにをするって言ったの?
肝心な部分がトーンダウンしちゃってよく聞こえなかった。

「俺がまひろに堕ちたのは運命みたいなものだったと思ってる。きっと俺が自ら望んで堕ちたんだ。それをハッキリと自覚したのがこの場所だった。だから……」

急に立ちあがった翔真にビックリしたけど、私はベンチに腰かけたまま動けなかった。

急に胸がザワザワしてくる。
まさかまさか、これって、もしかして……。

「蘭まひろさん」

「はっはい!!」

突然緊張が全身を駆け巡った。
ドキドキドキドキドキ……動悸が激しい。

私の前にひざまずき、左手の指先をキュッと握る翔真が真っ直ぐに私を見つめながら言った。

「私と、結婚してください」

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