【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
未だ涙の止まらないあたしの頭を、駆くんは笑いながら撫でている。


「でも……ほんとにごめ」


「うるさい」




腕をぐいっと引っ張られて、唇が重なった。


戸惑ったのは一瞬、あたしはあっという間に駆くんの魅力に飲み込まれる。


何度も触れる唇を受け入れるようにあたしも、彼を求めて。


「……はぁ、っ」


乱れた息のあたしを、駆くんは笑うでしょ?



「なみだ味だ」


あたしから離れて、にっと口角を上げた駆くん。


片手に台車、片手にあたしの手を握って歩き始めた。



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