【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
ガラゴロとうるさいほどの車輪の音にかき消されないように、あたしは駆くんに言った。




「……大好きより、もっと大好き……」



のんびりとこっちに横目を向けた駆くんは、嬉しそうな呆れ笑いをちらりと見せてから、台車に視線を落とした。


いや、もっと低く真下を見つめて。



……駆くん、何で黙っちゃったんだろう?



不安になって駆くんの顔をみたら。



「……え? 駆くん……」



……駆くんの顔が真っ赤になってる。



「……熱い」


ぶっきらぼうな低い声で、彼は顔を背けた。


そんな顔、見せるなんてずるいよ。



ドキドキとうるさい心臓をこんなに意識したのは初めてだった。

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