【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

ぎゅっと絡まる指があったかい。



「今宵、今度俺んち来る?」



駆くんのお家。

うん、行きたい。そう頷きながら、頭に浮かんだのはあのコルクボード。



「……そう言えば、部屋の壁にあったコルクボードから、もしかして二条先輩の写真、はがした?」


「また嫌な名前出してきたな」


「あ、ごめん」


「いいけど、いまさら。で、コルクボードになんであいつが?」


「変に一か所だけスペースがあいてたのが、気になって……」


「ほかのを詰めたからね」


首を傾げるあたしを駆くんは笑う。



「にぶいなぁ。今宵との写真も貼りたいなぁとか。俺は思うけど」



「……あ、あたしとの……?」


「うん」


「そのためにスペースをわざわざあけたってこと?」


「だって写真立てとか持ってないし」


声にならないくらい、胸がいっぱいで……。



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