【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「それでもわかんないなら、じゃあさぁ……これは?」


つうっと人差し指があたしの首元の絆創膏を撫でる。



「……っ」


身をよじると、駆くんはまた笑った。


ーービリ。


たった今貼られたばかりの絆創膏は
駆くんがいとも簡単に剥がしてしまって。


「ここ、キスされたとき、どうだった?」


ぐちゃ、と丸められた絆創膏を握る彼はにやりと笑う。


そんなことを、音羽くんの前で言わないでよ……。


音羽くんの視線もひしひしと感じる。

……もう、恥ずかしくて消えたい。



「ど……どうも、しない!」


「あぁそう。じゃあ俺もまだまだだね。次はちゃんと」



――感じさせてあげるね?


そんなこと耳元で言わないで……!


「もう、駆君……っ!」


熱く火照った頬を両手で抑えながら、思いっきりにらんだら、


「んむ」


なぜかおもいっきり抱きしめられて


「……怒った顔はレアだし、結構可愛いからーー」


かすれた囁き声が、もう一度あたしの耳もとに落ちて


「ーーそいつに見せんなよ?……俺の独り占め」


そう続ける駆くんに、あたしの心臓は、完全に牛耳られている。


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