【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「ねぇねぇ、駆くぅん!」

と女子に腕を引っ張られている駆くんを見て、さらに落ち込む。


駆くん、やっぱり人気がすごい……。


もや、っと不安感が広がるのは、駆くんが彼女たちの腕を払ってくれないから。


駆くんは軽いって、そんなの付き合ったときからわかってるのに……でもすっごくやだ。


視線を真下におとして、ずるずると座り込む。


「はぁ……」


ため息をつきながら視界に入ったのは、塀にもたれてゲームをしていたはずの音羽くん。


塀に背中を預けたまま眠っていて、力の抜けきった手からスマホが零れ落ちている。


「……音羽くん、音羽くん」


小さく肩を揺らしてみたけど、全然起きない。

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