完璧人間サマは私に夢中。

職員室に行っていたユートが戻ってきたタイミングで、声をかける。


「ユート。」


「んぁ?

 レオから話しかけてくるなんて珍しいな。」



「兎羽の仕事、

 ユートが処理してくれないか。

 お前の仕事を増やしてしまうけど、

 他にどうしようもないんだ。」



「はぁ?どういうことだよ。」


「兎羽が、俺を避けて生徒会室に来ない。

 ユート経由で兎羽の仕事を渡したり

 受け取ったりしてほしい。」




「あのトワに避けられるって、

 一体何をしでかしたんだよ。」


「悪いけど、俺の口からは言えない。

 というか、言いたくない。

 認めたくないんだ。」




「おーおー、ほんっとお前、変わったよな。

 なんつーか、人間らしくなった。」




「兎羽のためなら、

 人間にだって何にだってなるよ。」


感情を持った普通の人間が欠陥品で、感情のない俺達こそが完成品。


そう思っていたのに。



今じゃ俺も立派な欠陥品だな。





「わかったよ。

 お前のおかげで自由がある生徒会だ。

 レオの頼みは断れん。」


「悪いな。頼む。」




…これで、前期の間、兎羽とはもう会えないな。



俺の下で働いてくれる人は、みんな優秀だ。


兎羽と俺を会わせないようにしながらも、完璧に仕事をこなしてくれるだろう。





兎羽…。


兎羽がいつも座っている席を見つめても、幻覚すら見ることができなかった。






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