完璧人間サマは私に夢中。

「おい、トワ。

 俺の終わったからこんだけもらうな。」


「ありがとうございます!」



書記2人が親しげに話すのを見て、心に影がさす。



最近、兎羽のユートを見る目が変わった。



もともとユートを怖がっていなかった兎羽は、同じ役職であるユートを頼りにしている様子だった。



でも最近は兎羽の目に安心感がはっきりと浮かぶようになっていた。




俺の見間違いだったらよかったのに。


…そもそも人の感情を読み取ることに長けている俺が見間違えられる訳がなかった。



毎日のように見せつけられる兎羽の安心した笑顔。



会えなくなるよりはずっといいと思っていたのに、兎羽の笑顔を見るのが辛くてたまらなかった。




兎羽が幸せならそれでいい、なんて思えなかった。


人は、どうやって恋心を消化するんだろう。


こんなに強くてどうにもできないような想いを、どうやってなかったことにできるのだろう。




違う人に同じ気持ちを持てば、新しい恋を見つければなくなるのか?


時間が経ったら、勝手に消えていくものなのか?





…こんなことになるなら、つづるさんにもっと"人"について教わっておくべきだった。



俺に何も感じない世界での振る舞い方を教えてくれたつづるさん。



つづるさんはカフェの店長でもあるが、本業は研究者。



俺達のような感情を持たない人間、通称サイコパスについての研究をしている。



サイコパスと聞いて殺人鬼を思い浮かべる人もいるだろうけど、本来の意味からしたら殺人を犯したり重犯罪に手を染めたりしている人を指さない。



感情を読み取ることに長けているけれど、それに共感することができない人種。


簡単に言えば感情を感じることができない人種が、サイコパスだ。


恐怖や良心などの感情が、常識が欠落しているから普通の"人"にはできないような残酷なことができるというだけ。




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