完璧人間サマは私に夢中。

「僕は大矢(おおや)(しゅん)

 1組で、一応クラス委員長です。

 この学年唯一のダンス部男子だよ〜。」


明るく自己紹介をする大矢くん。



ダンス部…!


確か前に生徒会の仕事してるときに写した、各部活動の所属人数のやつで男子の割合がめちゃくちゃ低かったとこだ。


なんで女子だけの部活にしないんだろう?とか思ったのは内緒にしておかないと…。




他の3人の男子は1組と3組が2人の人で、あんまり活発そうではない人、というか名前とクラスしか言わない淡白な自己紹介だった。




「私は3組の藤村(ふじむら)絵美(えみ)です。

 美術部で油絵描いてるよ〜。

 よろしくっ!」


ほののんとした雰囲気を纏う、どう見てもかわいい癒やし系の女の子、藤村さん。


顔が超整っている!というわけではないのに、かわいいと思わない人はいないと思う不思議な容姿。



うらやましいなぁ…。


なんてぽけーってしてたら、私の番が回ってきていたみたいで…。



「ほら!うさぎちゃんの番だよ!」


左隣の男子…もとい大矢くんに小突かれた。


う、うさぎちゃん!?




「あ、えっと…、山本兎羽です。

 部活はやってなくて4組です。

 …以上です?」


私が最後だから次の人に振って終わるわけにもいかず、謎に疑問系で終わってしまった。



「うさぎちゃんと同じチームなんて嬉しいなぁ。」


にこにこと隣で笑ってる大矢くん。



「あ、あの…、なんでうさぎちゃん…?

 というかお会いしたことが…?」


そう。喋った記憶も会った記憶もない大矢くん。


なのになぜかうさぎちゃんと親しげな呼び方をしてくる。



疑問に思っていいよね…?



「名前、うさぎはねちゃんでしょ?

 僕うさぎ大好きだから

 うさぎちゃんの名前見たとき感動しちゃったよ〜。

 しかも生徒会立候補してるし!」



「いや、確かにうさぎはねって書くけど…。

 でも…」


『もうそろそろ自己紹介も終わったろ。

 ゲームの説明するから静かにしろー。』


弁明しようとしたのに学年主任が話し始めてしまった。



うさぎちゃんなんて幼稚園の時か小学生低学年の時くらいにしか呼ばれなかったよ!



さすがに高校生になってまでうさぎちゃんなんて呼ばれたくない。




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