【完】STRAY CAT
「ねえ、ちょっと。ニヤニヤしすぎ」
「かわいい告白だったなぁと思って」
「誰も告白なんてしてないんですけど」
カフェからの帰り道。
あのあと目的だったテスト勉強をしていても、ハセはウザいくらいに終始ご機嫌で、にやにやにやにや。不審者だと思われて通報されたっておかしくない。
「保留って、いい方向じゃん」
「あーもう、やっぱやめる。
ぜったいハセと付き合うとかないから」
「かわいいね、お前」
……頭沸いてんじゃないの?
なんでこんなに話噛み合わないの? 馬鹿なの?
「ねえ、」
薄くオレンジに染まる空。
もうすぐ蒔が帰ってくる時間だから、はやく帰らないと、と。足を進める途中で。
「……なんか、変な音、きこえない?」
マンションまであと数分というところで人通りのすくない道に出ると、何やら聞きなれない音が耳に届いた。
鈍いそれが気持ち悪くてハセにそう言ったけど、ハセは首をかしげるだけ。どうやらハセには聞こえていないらしい。
「ちょっとわたし見てくる」
「あ、おい! ちょっと待て鞠!」