【完】STRAY CAT
持ち込んだスマホのゲーム。
暇つぶしにはいいけど、面白いかって尋ねられたら、別にそういうわけでもない。単なる暇つぶし。
「あとね、昨日クラスの子に告白されたの」
「……、へえ」
「返事保留にしてるんだけど……」
ぴくりと、肩が揺れる。
お前あれだけ俺のこと好きって言ってたじゃん、なんてことを思って。あのとき保健医が揶揄うように言っていた言葉を、このタイミングで思い出した。
「……お前俺のこと好きだっつってなかった?」
鞠の顔をのぞき込む。
漆黒の瞳の中に、自分がうつり込んだのが見えた。
「好きだけど……?」
それがどうしたの?とでも言いたげな顔。
鈍いな。……だからたぶん、すげー、愛おしくなってんだろーけど。
「なら……堂々と浮気してんじゃねえよ。
変に気を持たせずにはっきり断ってこい」
「え……」
「お前、好きでもないヤツに好かれても、
絶対相手のこと好きになれねータイプだろーが」
触れている頬が、熱を持つ。
きょどきょどと視線を泳がせた鞠は、こくんとうなずいて。ちょっとうれしそうな顔で笑う。
「だいすきだよ恭。
……浮気なんてしてないよ、わたし」