【完】STRAY CAT
ハマってんのは……俺の方だ。
「……やきもちやいた?」
窺うようにじっと見つめてくる鞠の頬に触れていた手を、つっと滑らせる。
猫のように目を細める姿に、感情はただただふくらむばかりで。……ああ、クソ。
「……俺も大概影響されてんな」
「ん? ん……!?」
くちびるを塞げば、見開かれる瞳。
ゆっくり離して「……よそ見してんな馬鹿」と零した言葉は、まるで拗ねているような声色になった。
気づけば思考を染められてる。
1日たった数十分じゃ、もう足りない。
「っ……ふふ、」
「なに笑ってんだよ」
ぎゅっと抱きついてくる鞠。
女にそうやって接触されるのなんて嫌いなはずだったのに、愛おしくなって、華奢なその肩をそっと抱き寄せた。
「わたしのことすき?」
「……さーな」
「えー……そこは好きって言ってよ……」
頬をふくらませる鞠に顔を近づければ、俺のシャツを握って目を閉じる。
好きだって。たった三文字が、言わなくてもこのくちびるから鞠へと伝わればいい。