COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE MACCHIATO

*CAFE MACCHIATO 《昭香》


ブブッ。

お昼休みに入ってすぐに、デスクに置いていたスマートフォンが振動した。

それぞれにお昼休みの支度を始める皆を横目に、それを手に取る。


画面に表示される新着メッセージのポップアップ。

《今日残業ないんで、家来ませんか?》

ただのメッセージ。
でもそれを見ただけで、私を抱きしめた体温を思い出す。

《うん、行く》

手早く返事を送信する。


こんなこと続けて良いわけがない、と言う自分と
それでも彼のぬくもりが必要だ、と言う自分。

あの日からずっと心の中でせめぎ合ってきた。

でもそれはたった一通のメッセージでいとも簡単に揺らいでしまうような程度のもので
自分をいい大人だと思っていたのは、大きな間違いだったみたいだ。


はぁ、とため息が口から出かけたが、
オフィスにいるということを咄嗟に思い出し、ぐっと飲み込む。

私らしく、私らしく。

そう心に言い聞かせて私の名を呼ぶ声に返事をした。
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