COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

少し唇が離れたと思っても、またすぐに唇を塞がれる。

後頭部に置かれていた手が髪の毛を撫でるように伝うと、
鎖骨に到達したその手は優しく私の身体を押した。

背中がソファに沈む柔らかい感覚。

いつの間にか、ソファに追い詰められているような恰好になっていた。


唇が離れると至近距離で私を見下ろす彼と目が合う。

私の顔の横、ソファの淵に置かれた手からカモミールの優しい香りがふわっと香った。


『口、…あけて』

目に見えない大きな激流に流されていくように、私はそれに従った。

彼を直に感じる、深い口づけ。

この間とは違う、求めるようなキスに脳の芯がじわっと溶けていくように感じた。


どちらからともなく、唇が離れる。

同時に訪れる沈黙に、少し荒くなった二人の息の音だけが聞こえた。
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