COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

「…ここではやめて」

振り払われたその手を握り締めると、彼は切なげに笑った。


『昭香さん…

僕のこと、いらなくなりました?』

その笑顔に胸が切り刻まれるように痛む。


やめて、そんな顔しないで。
私がそう言って彼を抱き締めれば、きっと彼の心は救われるのかもしれない。

けれどそんなことをすれば、もっと彼を傷つけることになる。

「今日、家に行くから…その時に話そ…」

『…わかりました』

私は俯いた彼の顔から目を逸らすと、横をすり抜けるように部屋を出た。
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