COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『おーい!日比野 理央ー!』
『…は、はいい!!!?』
昭香先輩がまるで出席確認をする教師のように声を張ると、
理央は素っ 頓狂な声を上げて飛び上がった。
「今週末、私の家でホームパーティーするんだけど、来られる?」
『あ、ああ!週末…。
はい、もちろん行きたいですっ!』
いつも通りの百面相。
けれどそれはいつもの様子ではなく、彼女の表情が一瞬曇ったことを私は見逃さなかった。
『じゃあ、春田くんのお店でオードブルも頼もうか!
優香、お願いしてもいい?』
“春田くん”
その名前を聞いただけで胸がどきりと高鳴る。
「は、はい。大丈夫です」
動揺からか、どもってしまったのを隠すように
私は咄嗟に手にしていたブラックコーヒーを 呷った。