COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

*

そしてやってきたホームパーティー当日。

「うん、何とか…出来た」

手に付けたミトンを外しながら、私は完成したそれに向かい合うと呟いた。

目の前のテーブルの上には完成した春田くん直伝のイタリアンオムレツ。
見た目こそ彼の作った物には遠く及ばないけれど、味は彼に教えられたまま作っているので

恐らく…大丈夫なはず。

後片付けをしようと振り返り、キッチンへ向かう。
ピカピカの使い馴染みのないキッチンも、彼のお料理教室に通い始めてから、すっかり手になじんで使いやすくなってきた。

あとはオードブルの到着を待つだけ。
ランチ営業が終わり次第、彼が直接届けてくれることになっている。

彼と付き合うことになって、数日。

顔を合わせたのは昼間のお弁当の配達の時だけ。

けれど会話こそなくても、こちらを見つめて優しく微笑む彼の顔は心なしか赤らんでいて
二人の関係に変化があったのだと実感するには充分だった。
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