COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『ごめんなさい、本郷さんのこと大事にしたいから…

我慢できなくなりそうで』

そう言うと、真っ赤な顔のまま困ったように微笑む。

“我慢”
その言葉の意味をわからないほど野暮じゃない。


そっか。

私、春田くんの彼女になったんだ。
彼とキスしたり抱き合ったりするんだ…その先も。

咄嗟に想像してしまったそのイメージに、私は恥ずかしさのあまり顔を上げられなくなってしまった。

「…うん」

そう答えるのが精一杯な私の様子に、彼は声を上げて笑った。

『本郷さん、顔真っ赤ですよ!』

「…春田くんだって!」

勢いよく顔を上げると、からかうような言葉とは裏腹な彼のその余りに優しい微笑みに
こちらもつられて笑みが零れる。

『…その顔、他の男に見せないでくださいね』

彼はそう囁くように呟くと、再び私の肩に優しく腕を回した。


彼と一緒に始める新しい日々を想うと、身体が震えるほどに嬉しくなる。

“いつの日も、いつまでも”
彼と歩いていく。

大好きな彼の笑顔と、彼が愛するこの場所に私は誓った。
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