COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE LATTE
*CAFE LATTE 《花緒》
静まり返った車内。
祭りの後の静けさとはこういうことを言うのだろう。
車の窓を規則的に流れるネオンの光が、じわりと胸に沁みて何処か切なくなる。
ふわふわと身体が空中に浮いているような感覚。
お酒は弱い方ではない。
けれどこうして皆とワイワイ飲んでいると、
気を抜いているせいなのかいつもよりも酔っぱらってしまう。
『…花緒先輩』
私を静かに呼んだその声に、隣へ視線を動かすと
すっかり酔っぱらっていると思っていた理央ちゃんがこちらを見てニコリと笑った。
『楽しかったですねぇ』
「うん、楽しかったね」
ここ最近、理央ちゃんは酷く落ち込んでいて、元気がなかった。
けれどホームパーティーに少し目を赤くして現れた彼女ははすっかりいつもの調子に戻っていて、
これまで押し込めていたストレスを発散するように大騒ぎしていた。