COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

彼女のその笑顔に安堵の気持ちがこみ上げる。
それと同時にずっと胸の奥底に押し込めていた自責の念が(うず)いた。

「…何も出来なくて、ごめんね」

私はいつもそうだ。

彼女にどう言葉をかけるべきなのか、どうやって励ますべきなのか。
肝心な時に限って、それがわからないのだ。

振り払われる事が怖くて、もっと傷つけてしまいそうで。
きっと救いを求めていただろう彼女の手を、掴む勇気がなかった。

『…そんなことない』

はっと顔を上げると、こちらをまっすぐ見つめる大きな目と目が合った。

『そんなことないです。

花緒先輩は休憩しようって私に言ってくれたじゃないですか』

彼女のその言葉にあの日の光景がフラッシュバックすると、ぶわっと目頭が熱くなる。
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