COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

「ごめんね、理央ちゃん!また月曜日ね!」

『えええー??』

再び困惑の声を上げている彼女に、少し多めの金額を手渡す。

(せわ)しない別れになってしまった事に少し罪悪感を覚えながら車を降りると、
窓に顔を近づけた理央ちゃんに手を振った。

理央ちゃんはそれに応えるように機械音を立てて開いた窓から顔を出すと、むすっと口を尖らせた。

『月曜日、尋問ですから!』

「わぁ、怖いわねぇ」

『本気ですからね!!』

ムキになるその姿がまるで不貞腐(ふてくさ)れた子供のようで、とても可愛らしい。

「うん、おやすみなさい」

『気を付けてくださいね!おやすみなさーい!』

理央ちゃんが運転手に声を掛けると、車がゆっくりと動き出す。
その姿が見えなくなるまで見送ると、私は振り返り歩き出した。

白いタイルに沿って視線を上に動かすと、
葵堂書店と書かれた青い文字が照らし出されている。

「顔、赤いかな…」

火照った頬を指の背で撫でるように触ると、誰にも聞こえないくらいの小声で呟く。

早く会いたい。
胸の高鳴りに合わせるように、私は歩くスピードを上げる。

彼からその提案をされたのは、つい先日のことだった。
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