COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

唇がどちらからともなく離れた隙間。

『…好きだ』


初めて彼の口から紡がれた愛の言葉に、心が震えた。

狭いオフィスの中、私はいつだって目の前にいる彼に恋い焦がれていた。
優しい笑顔。真剣な表情。

視界の端に映る姿でさえも、私の胸を痛いほどに締め付けた。

滲んだ涙は、心が嬉しいと幸せだと叫んでいるから。
こんな日が来るなんて、夢にも思っていなかった。

「嬉しくて…死にそう」

そう言った言葉の端が微かに震える。
彼はそんな私を見て、優しく微笑んだ。
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