COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

最後に彼と会ってから、一ヶ月弱。

たった一ヶ月弱の事なのに気まずさからだろうか、どんどん緊張感は高まっていく。

準備を済ませ、玄関の扉を開ける頃には何度も奮い立たせた気持ちはすっかり意気消沈していた。

駅を目指し歩き始めると、ひんやりとした空気が首元をかすめる。
もうすぐ夏といっても、今日みたいな雨の日は少しだけ肌寒い。

手に持ったネイビーのロングジャケットを羽織る。

ノースリーブとタイトスカートも同素材のセットアップになっていて、
柔らかいリネン素材が肌に触れてスルスルと気持ちが良い。

「よし」

再び気合を入れ直すと、じっとりと肌に(まと)わりつくような空気を振り払うように歩き出した。
< 388 / 449 >

この作品をシェア

pagetop