COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

*

駅ビルの中に入ったそのお店はいかにも高そうなセレクトショップというような佇まいで、 什器(じゅうき)に平置きされたアイテムはどれもセンスが良い物ばかりだった。

それらのアイテムを眺めながら目の前を歩く彼は、店の奥の壁側にディスプレイされているネクタイの前で立ち止まった。

「…ネクタイ買うの?」

彼の隣へ並び、目の前に吊られたネクタイを眺める。

それらの中には動物モチーフの刺繍がされたものや大柄の奇抜なものもあり、見ていて目が飽きない。

『数字を達成した時だけ、1タームごとに1本買ってるんです。

今回ちょっと遅れましたけど』

うちの会社の1タームはいわゆる上半期、下半期で半年ごとに区切られていて
営業の数字達成も同様に上半期、下半期で区切られている。
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