COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

徐々に濃くなる香ばしい香りに、重い足取りも少しだけ軽くなる。

緑色の屋根のワゴン車の前には行列を成している、出勤前の会社員やOL。
その最後尾に並ぶと、付近に並べられた丸テーブルに目配せをした。

すると、いつもと変わらない明るい声の主に目が留まる。

『…っていってもあくまでも噂ですからね!?』

理央が大きな身振りで目の前に座る優香に何かを熱弁している最中だ。

「理央、声でっか」

淡々とそれを見つめる優香。
対照的な二人が可笑しくて、思わず小さく吹き出す。

そんな二人を見つめているとあっという間にレジの前に辿り着いた。
注文したアイスマキアートを手に彼女達の席を目指す。
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