COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『…誰しも、
何があったのかと聞いてもらいたい人ばかりではないですから』
室長の言葉にはっと顔を上げると、いつもの穏やかな笑顔でにっこりと笑った。
まるで私の心を見透かしているかのようなその言葉に、少しだけ気持ちが軽くなる。
本当に辛くて堪らない時に何も聞かず、ただ傍にいてくれた人達にどれだけ救われたか。
そして今も。
私はこうして救われているんだ。
『さ、優香ちゃんも。
お昼にしましょ』
そう言って微笑む花緒先輩の笑顔が、いつにも増して心に沁みた。