彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
気分転換にトイレに行こうと廊下に出た時、ずっと向こうの方に沙和の姿が見えた。

こんなに離れていても、センサーが反応する。

でも全然目が合うことはない。
目で追ってるのはいつも俺だけだ。

沙和は新庄さんと高橋さんとそのまま教室に入っていく。

このまま付き合ってて、沙和が俺の方を向いてくれる日は来るのかな。
このまま付き合ってたら、都合よく使われて高校卒業する時にでも振られるんじゃないかな。

つい用を足しながら、頭の中をグルグルする。

付き合う前まではこんなことを考えたことはなかった。

毎日家族みたいにご飯を一緒に食べてるだけで満足してたような気がする。

そのままの生活がずっと続くもんだと思って、それでいいと前向きに諦めていたような気がする。

そしていつかそれぞれに他の好きな人ができて、俺の淡い初恋は消滅するつもりだった。

トイレから教室に戻る。
と同時にチャイムが鳴った。

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