彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
昼休憩中、隣の松崎が顔を近づけてきた。
嫌な予感。

「前山さんとやった?」

やっぱり。

「ん?なんのこと?」

わざとそう返す。

「デート何してんの?」
「何したっていいじゃん。」

俺たちがコソコソ話してると荒木の大きな声が脇から刺さってきた。

「こいつら何もしてねえよ。」

荒木の声にバラバラに食べてた部員全員が俺の方を見る。

「な・・・」

固まる俺。

「まあ、そうだろうな。」

後藤。

「1回戦の時、コンビニでゴム買ったじゃん。」

五反田。

「よかったー。」

松崎。

何もしてないって・・・

でも一応ちょっとは進展あったけど、そういえばあれ以来全く何もない。
反論したいところだけど、かえってカッコ悪い。

「じゃあ、夏休み中だな。」

と五反田。

もう夏休みも8月入ったし、来週からお盆になるし、沙和と進展なんてあるのか?

夏休み中の土日は、寝てるか宿題してるか模試受けてるかのどれかになりそうな予感。

どこかで沙和との時間を作りたい。

予定を見ると、ちょうど20日しか空いてない。

チャンスはここだ。
沙和と初めてのデート。

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