素直になれない夏の終わり

お店の料理ならば見た目にこだわるのもわかるけれど、家で食べるものまで見た目にこだわるのはよくわからない。

食べられればそれでいいだろうと思ってしまうのは、そもそも夏歩は料理が苦手だからなのだろうか。

そりゃあそんな夏歩でも、美味しいものか美味しくないものかだったら、断然美味しい方がいいけれど。


「まあでも、俺もそんなにこだわって盛り付けてるわけじゃないけどね。食器だって、何にでも合うようにほとんど白だし」

「それなのに語ったんだ」

「語るのは自由でしょ?」


夏歩は会話の合間にスパゲティをフォークに巻きつけて口に運び、追っかけでスープも入れる。

朝はトマトの甘味とほのかな酸味のあるスープだったのが、今はニンニクが効いていて、更にピリッと辛い。

具はおそらくシーフードミックスで、先ほど食べたイカ以外にも、小ぶりのエビとベビーホタテが入っていた。

スープを飲む時、それらも一緒に掬って口に入れる。時には、スパゲティと一緒にフォークに巻きつけて口に運ぶ。
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