素直になれない夏の終わり
「いつから付き合ってたのかは不明だけど、少なくとも在学中ではないと思うわよ。だって彼女、当時は彼氏がいたじゃない。ほら、覚えてない?よく校門のところに立ってた、金髪ピアスの他校生」
ああ、いたねえ。と津田が呟く。夏歩も、言われて思い出した。
下校時刻になると校門の前に他校の不良が現れると、一時期騒ぎにもなっていた。
「学生時代は中々にやんちゃで、付き合う相手もやんちゃそうな男だったのに、結婚は堅実に公務員とだなんて、考えてるわね。人は見た目によらないってことか」
「そんなに計算づくで結婚したとは思えないけど……」
教師と生徒と言うだけでなく、問題児とその担任と言う、何とも少女漫画的展開を想像したくなるような関係性の二人だったのに、計算づくと言われてしまえば一気に甘い想像が崩れていく。
「夏歩ってば甘いわね。女ってのは、結構計算高い生き物なのよ。もちろん、あたしも含めてね。そう言うわけだから津田、そこのところ、よおーく理解しておくように」
心得ました!とふざけて美織に向かって敬礼した津田は、次いで体ごと夏歩の方を向く。