素直になれない夏の終わり

「大丈夫だよ、なっちゃん。どんなに計算高くても、俺の気持ちは変わらないから」

「むしろそこは変われ!今すぐに」


睨みつける夏歩を、笑顔で受け止める津田。そんな二人から視線を外して、美織は立ち上がる。
それに気が付いた夏歩は、「どこ行くの?」と不安げに問いかけた。


「お手洗い。鞄置いていくから、見ておいて」


一緒に行くつもりで腰を浮かしかけた夏歩だが、美織の言葉に中途半端なところで動きが止まる。
その間に美織は、さっさと靴を履いて座敷を出て行った。

置いて行かれた夏歩は、しばらく美織が消えた方を眺めていたが、チラリと視線を鞄に移し、それから諦めたように浮かしかけた腰を下ろす。
見ておいて、と頼まれたからには、ほっぽってついて行くわけにもいかない。

夏歩はレモンサワーのグラスを掴んでグイっと飲むと、津田が勝手に取り分けたタコのから揚げを摘まんだ。
外側がカリッと揚がっていて、でも中は柔らかくて、確かに美味しい。
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