素直になれない夏の終わり

「まあ、そんなに並ぶのが嫌だったら、もう少し落ち着いた頃に行ってみればいいんじゃない?一ヶ月後とか」

「一ヶ月……」


その頃には忘れていそうだな……と夏歩は密かに思いながら、美織がロゴの入った袋から紙製のランチボックスを取り出すのを眺める。

蓋を開けると、中には玉子サンドが二つ、断面が見えるようにして収まっていた。


「あれだね、今時の、これどうやって食べるの?顎外れない?みたいなやたらと分厚いサンドイッチじゃないんだね」

「そうね。分厚いのは断面が綺麗だけど、これくらいがやっぱり食べやすくてあたしは好き」


ランチボックスに収まっているのは、それほど口を大きく開けなくても、上からギュッと押し潰したりしなくても食べられる厚さのサンドイッチで、パンは見るからにふわふわ、潰したゆで卵とマヨネーズを合わせてあるフィリングは、顎が外れそうとまではいかなくとも充分に詰まっていた。

更に同じ袋から、美織はドリンクが入っているプラスチックの容器も取り出す。


「へー、そういうのも置いてるんだ」

「これはスムージーなんだけど、他にスープもあったわよ。どっちにするか悩んだのよね」
< 159 / 365 >

この作品をシェア

pagetop