素直になれない夏の終わり
そう言って美織は、スムージーの容器に付属のストローを差し込む。
それを見て、夏歩も思い出したようにテーブルにお弁当を広げた。
「相変わらず美味しそうなお弁当ね、流石は津田」
先ほど夏歩がランチボックスを覗き込んだのと同じように、今度は美織が夏歩の弁当箱を覗き込む。
「この玉子焼きは何が入ってるの?」
黒いものが混ぜ込んである玉子焼きを指差す美織に、夏歩は「ひじきだって」と答える。
「じゃあこの肉巻きは?」
それには「ごぼう」と答えた。
ふーん、と言いつつしばらくおかずを眺めていた美織は、やがて「よし、夏歩」とランチボックスから玉子サンドをひと切れ取って半分に割る。
「これと、おかず交換しましょ」
えっ、いいの?と、夏歩は差し出された半分のサンドイッチと美織とを交互に見る。
「津田の作ったおかず、味見してみたいし」
断る理由なんてあるはずもないので、夏歩は喜んでサンドイッチを受け取り、弁当箱を美織の方に押し出した。