素直になれない夏の終わり

そんな話を、味噌汁も美味しく作れないと言う夏歩にとっては大変情けない話を、ドライヤーの音に負けないボリュームでしているうちに、乾かす作業は終了した。

そこで始めて、夏歩はハッとして津田を振り返る。


「て言うか、なんで津田くんが乾かしてるの!」


今更だね、と津田は笑って返した。


「気安く触るなって何度も言ったのに」

「気安く触れちゃうくらい無防備ななっちゃんがよくないね、これは。そういう無防備さは、俺の前でだけにしてね」


どうせ何を言っても今更なので、夏歩はそれ以上無駄な会話はやめにして立ち上がった。


「ああ、なっちゃん。せっかくだから手伝ってよ。俺はハンバーグ盛り付けるから、味噌汁よそって」


気持ち的には文句を言いたいところだが、自分の夕飯でもあるのでそれは言えない。
仕方なしに夏歩はキッチンに向かうと、鍋がかかっている方のコンロの前に立った。


「底の方からかき混ぜてよそってね。あっでも、あんまり乱暴にするとせっかくのふんわり玉子がぐちゃぐちゃに散らばっちゃうから気をつけて」
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