素直になれない夏の終わり
そんな繊細そうなものを任せないで欲しいと内心げんなりしながら、夏歩はお玉を使って慎重に底の方から味噌汁をかき混ぜる。
片手に持ったお椀に、まずは底の方から出現した豆腐を汁と一緒によそって、次に表面の玉子と汁とを掬ってよそう。
その隣で津田は、まずはフライ返しを使って取り出したハンバーグを皿に盛り付け、その上から片栗粉でとろみをつけたキノコ餡をたっぷりとかけていた。
それぞれに盛りつけが終わったところで、夏歩は味噌汁のお椀を、津田はハンバーグの皿を運び、ご飯は各自好きな分をよそってテーブルにつく。
津田の「いただきまーす」に何か言われるまでも、視線で訴えられるまでもなく夏歩も続くと、どこか嬉しそうな津田の視線に気づくこともなく、夏歩は早速箸でハンバーグを二つに割った。
そしてその断面を見て夏歩は、そう言えばこれは豆腐ハンバーグだったと思い出す。
見た目がまるっきりお肉のハンバーグだからすっかり忘れていたけれど、確かに津田は今日の夕飯は豆腐ハンバーグだと言っていた。
先ほど皿に載っていた時にもお肉だと思って見ていたけれど、実際に割ってみたハンバーグはお肉がほとんど入っておらず、そのほとんどが豆腐で構成されていた。
お肉は正に申し訳程度と言った具合で、割っても肉汁は溢れてこなかったけれど、代わりに驚く程ふんわりとしている。