素直になれない夏の終わり
「と、とにかく、津田くんが言ってるってだけでもう安っぽいの!言い方の問題じゃない」
「ええー、今なっちゃん明らかにグッと来てたでしょ」
「グッとなんか来てない!!」
「あっ、もしかして、今の感じで“好きだよ”って言ったら落ちたんじゃ……」
「誰が落ちるか!!」
ああ、なんで俺あの時サラッと台詞を変えられなかったんだ……と本気で悔やんでいる様子の津田はもう無視することにして、夏歩は食事に戻る。
津田との無駄なやり取りのせいで、味噌汁が少しぬるくなってしまった。
「でも、なっちゃんが可愛いって言われてすぐぽーっとなっちゃうような人じゃなくて良かった」
独り言のような雰囲気を漂わせて、津田がポツリと言う。
味噌汁のお椀に口をつけたまま、夏歩は横目に津田の様子を窺った。
津田は箸でハンバーグを切り分けながら続ける。
「俺はいつだって本気だけど、なんの気なしに“可愛い”って言う男なんていっぱいいるからね。それにいちいちぽーっとなるようだったら、俺心配で心配で」
「私、そんなに自意識過剰じゃないから」
「でもなっちゃん、基本的には押しに弱いタイプでしょ」