素直になれない夏の終わり

今時は小学生だっておませな子が多いから、お弁当をブンブン振り回すようなやんちゃな子は絶滅しかかっているかもしれないと言うのに。


「小学生並みに可愛いって意味なら、まあそうだと言わざるを得ないかな」

「それ、絶対バカにしてるでしょ!」

「いやだなあ、なっちゃん。可愛いは褒め言葉だよ?」

「津田くんの“可愛い”は安っぽくて全然褒められてる気がしない!」


ええーと悲しげな声を上げた津田は「じゃあ……」と前置きしてから


「可愛いよ、なっちゃん」


顔こそヘラっと緊張感なく緩んでいたけれど、いつものように軽い調子ではなくて、声に真剣さを滲ませてそう言った。


「……っ!」


ここで照れたら津田の思う壺だとわかってはいるけれど、いつもは聞き流せるほどの軽い“可愛い”に、今回はその軽さがないので上手く聞き流せない。

夏歩が動揺したのを悟ってか、津田は得意げに「これでどう?」と首を傾げながら問いかけた。
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