素直になれない夏の終わり

考えてみれば、夏歩の家で使うものを買ってくれようとしているのに、それを津田に任せきりというのはどうなのだという気もしないではない。


「一緒に行こうよ!ね?なっちゃん」


疑問符交じりではあるけれど、実質それが決定事項であることなんてわかっているから、長年の付き合いでわかりきっているから、夏歩は諦めたようにため息をついた。

これだから津田に基本的に押しが弱いなどと言われるのだが、これ以上粘るよりも、さっさとついて行った方が面倒が少なくて済むと思ってしまうのだから仕方がない。

夏歩が諦めたことをため息で察してか、津田がようやく肩から手を放し、後ろから隣へと移動する。


「そう言えばさっき言い忘れてたんだけど、もう一つ今日は絶対に買わなくちゃいけないものがあってね――」


近くのスーパーに向かって、夏歩は今しがた歩いてきたばかりの道を戻る。

津田の話など半ば聞き流しながら、もっと早いうちに連絡をくれていたら、せめてスーパーで待ち合わせだったなら、などと考えていた夏歩だが、その単語は決して聞き逃さなかった。


「ココア、あと一回分いけるかどうか微妙だから、忘れず買わないと。でしょ?なっちゃん」


ついつい体が反応してしまって、津田にクスリと笑われる。

恥ずかしさを誤魔化すようにキッと睨みつけたら、「そういう顔も、俺は嫌いじゃないよ」と返された。




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