素直になれない夏の終わり
ガシッと手首を掴まれて強く引き寄せられると、ベッドから転げ落ちることはなかったけれど、その揺れのせいで軽い吐き気を覚えた。
「急に動いたら危ないよ、なっちゃん」
そう言って安堵の息を吐く津田を、夏歩は驚きで見開いたままの目で見つめる。
「なん、で……津田くんが、ここにいるの……」
なんでって……とそこで一旦言葉を区切った津田は、見開かれた夏歩の目を真っすぐに見つめて、ヘラっと笑った。
「俺達、付き合うことになったでしょ。だからだよ」
驚きが許容量を超えて、夏歩は呆けたような表情で津田を見る。
「……付き合う?誰と、誰が……?」
「もちろん、俺と、なっちゃんが」
楽しそうに笑って夏歩を見ながら、津田が答える。
「もうね、婚約も済ませたんだよ。だから今日は、婚約指輪を見に行く約束なんだ。次の休みにはなっちゃんのご両親に挨拶に行く予定だし、その次の休みからは式場を見に行ったり、ドレスを選びに行ったり、あっ俺の両親にも会ってもらわないとだね。後はそうだな……」
「ちょ、ちょっと待って!!」