素直になれない夏の終わり
「へえー、夏歩が料理。それもロールキャベツなんて、凄いじゃない」
「……別に、私が一人で作ったわけじゃないし。ほとんど津田くんが」
「それでも、夏歩が料理をしたってことが重要なのよ」
お昼休みの休憩室、それは食べ終わった弁当箱を片付けながらの会話。
「夏歩ってば、最近はお休みを満喫してるかと思ったら、仕事終わりも随分と充実してるじゃない。これも、津田のおかげね」
その発言は受け入れがたくて、夏歩は不服さを前面に押し出した顔で美織を見る。
美織は夏歩が表情に浮かべたその不服さに対して、「だってそうでしょ」と言った。
「仕事終わりに料理習って、この前の休みはピクニックだっけ?ちょっと前は、家に帰ればすぐにベッド、休みの日は一日中家でゴロゴロする生活だったのに、それに比べたら断然充実してるじゃない」
言われてみれば確かにそうなのだけれど、それが津田のおかげとなれば、素直には頷けない。
「いいことね。うん、いいこといいこと。今度裕也に会った時、あんたの幼馴染みも結構役に立ってるって教えてあげないと」
夏歩は何も言っていないのに、美織は一人満足そうに頷く。