素直になれない夏の終わり
ふふっと零れた笑い声は津田にもしっかり届いたようで、遊ばれていると気付いた途端ムスッとした表情に変わる。
「津田も夏歩も反応がいいから面白いのよね。裕也じゃ反応が薄くて全然面白くないから」
遊んでいたのが津田にバレたと知るや、美織は誤魔化したりせずにあっさりとそれを認める。
夏歩と一緒にいる時には絶対に見せないようなむくれた顔で、津田は美織を軽く睨んだ。
けれど、津田が夏歩の鋭い視線をものともしないのと同じように、美織は津田のそんな視線を受け流してマグカップに口をつける。一口飲んでから、口を開いた。
「ところで津田は、昨日から一体何をしてたの?」
その問いに、津田はベッドの方にチラッと視線を動かした。
つられるように美織も同じ方を見て、そこで寝ている夏歩から津田へと視線を戻す。
「まさか、ただ単に連絡し忘れただけ?」
相手が夏歩なら津田に限ってそれはないと思っていたけれど、夏歩にもそう言ったけれど、人間だれしもうっかりする時はある。
しかし津田は、それを否定するように首を横に振った。